展示会ブースデザイン ポイントと事例のご紹介

展示会ブースデザイン そのポイントとは?
2022年4月。新型コロナウイルスを機に、この2年間で展示会の在り方は大きく変わりました。

従来の展示会では、多くの人を集めてリアル開催でのオフライン形式が当たり前。しかし、新型コロナウイルスの影響により、展示会をオンラインで行う企業が増えてきました。その後、オンラインとオフラインを融合させたハイブリット形式の展示会も出てくるようになりました。

これが2022年4月の状況です。ここでは、2022年4月以降に考えられる展示会ブースデザインのポイントを事例も交えながらご紹介させていただきます。

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展示会ブースデザインで来場者が出展社に求めるもの

展示会に出展する立場になると、展示会に来場する来場者の立場を忘れがちです。 ここで展示会に来場する立場になって考えてみましょう。 出展社側は、まず、来場者が出展社に求めるものを解像度を上げて理解しておくことが大事だと思います。 それでは、自分が来場者の立場に立って、展示会に行く動機を考えてみます。

①「最近は何か面白い企業や製品があるだろうか」
②「上司から指示されたから」
③「午後は息抜きに展示会に顔でも出してみよう」
④「自分の会社が出展しているから」
⑤「新しく買ったカメラで何か撮影してみたい」

などなど、理由はそれぞれです。 この理由の中でやはり最も多くの人は、①~③の理由に該当する人が多いと思います。

つまり、
展示会に来場する理由のほとんどが「情報収集」
です。

具体的な購買へのニーズが存在しておらず、「漠然とした情報収集」が目的だと思います。 そして、この漠然とした理由を抱く方々は、決裁者や意思決定者よりも現場の担当者が多いと思います。 そのためには、来場者のほとんどは効率よく多くのブースを回る必要があり、なんとなく入ったブースで担当者に捕まり時間を取られたくないと考えている事が多いです。そこで、出展社は、来場者がブースの前を通った時に足を止めてもらうための施策を考え、実行することが必要になります。

来場者が出展社に求めるものは、
何を展示しているかをはっきり提示できるブース

つまり、ブースデザインが必要になります。
自社の最新商品が必ずしも来場者の興味を引くとは限らないということ考え、自分のブースでは、何を展示しているか、それを来場者の興味を抱かせるものになっているブースデザインを考えることが大事になります。

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展示会ブースデザインの4つのポイント

ブースデザインのポイントを会社で出展する展示会の目的をしっかり話し合っておくことが大事になります。

その目的によって、展示会のブースで行おうとしているイベント企画やサービスなど、展示商品だけでなく、出展要素をすべて踏まえたうえで、展示会ブースデザインやブース装飾を考えていくことが大切になります。 さまざまな情報があふれる展示会やイベント会場での展示では、ターゲットにいかに注目され、興味を持ってもらうかが鍵となります。 しかし、ただ注目されたらよいというものではありません。

「パンフレットは配ったが、その後の受注につながらない」
「商品の良さがうまく伝わったかわからない」


などの悩みを抱える場合も多いと思います。 まずは、紹介したい展示品の魅力を相手にどう理解してもらうかを考える視点が重要です。

それらをすべて洗い出したうえで、僕の考える展示ブースデザインで抑えるべき4つのポイントはこちらです。

①キャッチコピーを考える
②ブランドイメージをはっきりさせる
③レイアウトを考える
④照明・音の使い方

①キャッチコピーを考える

展示会本番、多くの人がブースの前を通過していきます。 出展数も多い展示会では、来場者もその多くの出展社の中から、 自分に興味があるものを展示しているブースを瞬時に探していかなければなりません。その時、来場者の視線は一つのブースをじっくり見ている訳ではなくあちこちのブースに視線を向けています。

つまり、あなたのブースを見ている時間はほんのわずかです。

来場者多くがブースに向けるわずかな視線で来場者の興味を掴むためには、

簡潔に情報を伝える

必要があります。

会社名の他にも何を扱っているか、それに何のメリットがあるか、簡潔なキャッチコピーを添え、ブースに掲げアピールすることが大切です。 そのために必要なのが「キャッチコピー」です。

「キャッチコピー」を考えるにあたり、2つの要素が重要です。

感覚に訴えるキャッチコピー

1つめは、人の心をつかむ重要なポイントです。キャッチコピーを考えるにあたっては、 ・共感できる ・納得できる ・続きが気になる などが感情に訴えることが鍵となります。 キャッチコピーを読んで、思わず「気になる」「知りたい」という感情が生まれる言葉を考えることが重要です。

簡潔に伝えること

2つめは、「簡潔に伝えること」です。
一番伝えたい商品のポイントを絞り、なるべく短くまとめることで、見た人にシンプルで強いメッセージが伝わります。 さらに詳しい商品説明は、興味を持ってもらえたその後に行えばよいのです。また、できるだけ使用する書体は統一させましょう。より印象付けたい言葉やフレーズは色を変えると引き立ちます。 これは、ブースのデザインだけでなく、商品パンフレットなどの配布物のデザインでも応用できるポイントです。 自分の会社名とともに掲げているキャッチコピーが長すぎたり内容を詰め込みすぎたりしているブースもよく見かけますが来場者は思っているほど読んではくれません。 来場者が求めている情報がすぐに分かるように、商品の特徴やメリットを単刀直入に何が凄いのか、何が他社と違うのかが分かるキャッチコピーが必要になってきます。 1コマのブースですと、通り過ぎるのに3~5秒間です。 その3~5秒で伝えられるようなキャッチコピーを考えることが、ここでいう「簡潔に伝える」ということになります。

②ブランドイメージをはっきりさせる

ブースの色使いがバラバラだったりパネルのフォントに統一感がなかったりするとごちゃごちゃした印象になってしまいます。 反対に、色数を抑え使用するフォントの種類を統一するとまとまった印象になります。

配色は、展示品のテーマや質感などを伝える重要な要素

ブースの色は会社やブランドのイメージで決める事が多いと思いますが、そのほかにもターゲットとなる来場者のイメージやコンセプトに合わせたり、 あえて他社が使わなさそうな色を使って目立たせたりなどアプローチを変えるなど来場者目線で考える必要があります。 自分の会社のカラーを把握し、展示物のカラーを把握し、来場者にどんな印象を抱かせればいいのかを考え、 ブランドイメージを的確に来場者に伝えることで、来場者にブランド(展示商品)イメージをはっきり伝えることができます。

ポイントとしては、

・シンプルに伝わりやすい色やテーマで表現
・展示品のトーン&マナーを守る


などを意識してください。
たとえば、モノトーンで統一させる、ブルーのベースカラーでさわやかさを出すなど、伝えたい世界観によって、さまざまな配色が考えられます。 例えば、自社のコーポレートカラーが「赤」であっても、展示会で押したい展示商品が「青」であれば、 思い切って、自社のコーポレートカラーの「赤」ではなく、全体を「青」で演出することでイメージを伝えていくことが重要になってきます。 配色が多い、文字が詰め込まれているなど、何が主役か分からない複雑な広告は、広い場所にたくさんのブースが集まっている展示会の場合は向かないと思います。 一番伝えたいことを決め、的を絞ったデザインや配色で打ち出すことが重要になります。

③レイアウトを考える

ブースの配置場所(小間割り)によって全体的なデザインの見せ方は大きく変わってきます。 そのため、展示会場入り口から

・来場者はどのような順路で会場をまわるのか
・どこの導線を来場者は多く通るのか
・自社のブースはどのように見えるのか

想像しなければなりません。

例えば、配置場所によっては、メインの通路から離れたブースは遠くからでも目を引くデザインにする必要があります。 具体的には

・会社名やキャッチコピーを高い位置に設置し、遠くから見えるように
・色でブースを目立たせるなどのブースデザイン

が考えられます。

キャッチコピーは来場者が多いメイン通路側に掲示した方が効果的です。 ブースの外観だけでなく、内観も導線を意識する事が大切です。 来場者が閲覧するために充分なスペースがあるか、来場者同士がブース内ですれ違う余裕があるかも忘れず検討する必要があります。 小さいブースの場合、商談席を置くと大きな面積がそれに占められます。 目的が商談であれば、商談席をしっかり設けることは大切な要素ですが、目的が違う場合は、無くすという決断をすることも大切です。 なぜなら、それによって来場者が回遊できるスペースが減ってしまったり、展示商品を配置するスペースがきつくなってしまったりするからです。 小さなブースの場合は商談席ではなくハイテーブルを設置して来場者と商談ができる場所にするなど工夫が必要になります。

④照明・音響の使い方

ちゃんと考えつくされた展示会ブースデザインをよりよく見せるために必要になってくるのが、照明や音響になります。これはブースを装飾していく上で重要な要素となり、有効的に使うことで、ブースや展示物の見え方が一気に変わります。 照明が製品や看板にきちんと当たっていないと違和感を与え、ブース全体が暗い印象になってしまいます。 照明が当たっていると来場者の視線も向かいやすくなり、見栄えも良くなります。 更に明るさに加え、BGMなどの音響効果でブース滞留率をあげることもできます。 来場者の視線に対し、照明が逆光になっていると来場者からは暗く見えてしまいます。 この場合は両方向から照明を当てる事で解決できます。 たとえば、ゆったりと時間が流れるバーやレストランでは少し薄暗い重みのある電球色の照明を使用し、若者やファミリー層が集まるショッピングモールでは元気で明るい印象を受ける昼白色・昼光色の照明を使用することが多いです。 目的に合った照明を使用することで、展示品をさらに良く見せられるだけでなく、「暖かそうだな」「格好良いな」と、感情や心理に訴える効果も得ることができます。

上記のポイントを導き出したうえで、最後に考える最近(2022年4月現在以降)ブースデザインポイントとしては、洗練された中での違和感を与えることで、更に印象付けるブースデザインになると思います。

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展示会ブースデザイン事例のご紹介

ここでは過去にブース設計や運営、ステージなどで携わらせもらった展示会ブースのデザインについてご紹介いたします。

①次世代ワールドホビーフェア BANDAIブース

1面開口のレイアウト。展示商品の体験イベントがメインコンテンツとなるため、上部にわかりやすいロゴマークを配置したデザイン。 ターゲットである子供にわかりやすいブースデザインを心がけました。 体験させるための展示ブースであるため、ブース内は、運営しやすいように、 展示のみの商材は極力少なくして、ブースに入ってからの運営スペースを広く設定しました。

②フォトネクスト SONYマーケティングブース

全面開口のレイアウト。メイン商材がカメラである本ブースでは、商品であるカメラを展示するとともに、 カメラの性能、機能を体験したいただくブースデザインを展開。 ブース内は、ハンズオンスペース(体験コーナー)、セミナースペース、コンサルティングコーナーの大きく3つのエリアを設定して、 見る、触る、聞くなど様々な体験角度で商品を紹介した。 特にハンズオンスペースでは、ロの字型に設計し、中にモデルを配置、それを来場者がカメラで撮影することでブース上部のモニターに写し、 それを見たブース外の来場者に対して、ブースへ誘因する施策を行った。

まとめ「展示会におけるブースデザインの役割」

展示会におけるブースデザインの役割は、エントランス

つまり、ホテルや家の玄関的なポジションです。
その役割を達成させるためには、

・出展目的
・その商品が何か?
・見せたいものは展示商品なのか?
・それとも名前を認知させたいのか?
・展示商材、予算、製作期間、目標

など多くの構成要素を洗い出してから、展示会ブースデザインの制作にあたることで、方向性、コンセプトを導き出すことが大切なことだと考えます。 方向性、コンセプトが決まったうえで、携わった会社、社員のアイデアを持ち寄り、最適な「納得解」こそブースデザインに反映されてくるものであると思います。全員が思い入れのあるブースデザインに仕立てることが目標達成の大きな一歩になると考えます。

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執筆:
浅見 裕靖

業界歴20余年。
多種多様なステージ、映像の演出を手掛ける

PRイベント、記者発表、展示会、広告キャンペーン等、多種多様なイベントプロデュースに携わり、年間平均約60~80本のイベントに携わる。
1本のイベントで完結せず、次回、次々回を見据えたイベント戦略の提案により、クライアントとは長期的なイベントサポートをさせていただくことが多い。

最近では、音響、映像チームを携えたオンライン映像配信プロジェクト「The Dog House Records」を立ち上げ、イベントの領域を広げている。

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