映像・動画制作の授業
PR動画の作り方基礎編part①印象と記憶に残る動画を作るポイント
こんにちは。先日、以前コンセプトムービーを制作させていただいた明治大学附属明治高等学校様にお邪魔して、未来のクリエイターたる高校三年生を対象に「映像の作り方」講座を行わさせていただく機会をいただきました。今回はその90分授業の内容を凝縮して、誰でもできる印象と記憶に残る動画を作るポイントをいくつかご紹介したいと思います。
○効果的なPR映像を作ってみよう
今回お話しするのは、たくさんの動画のジャンルや種類がある中の、主にPR(プロモーション)映像と呼ばれる部類の動画になります。商品の広報や宣伝のために活用される動画です。
作った映像・動画がPR映像として成り立つための要素を三つ挙げてみます。
①目的とテーマが明確にある。
②その目的やテーマを達成するための手段として、映像・動画を活用する。
③動画を視聴してほしいターゲットが存在する。
これからPR映像を作ってみようかなと思っている人は、テレビCMやトレインチャンネル、Youtube広告などを、上の三つを踏まながら分析し、作り手側になって考えてみましょう。作り手、発信側がどんな意図を持ってるのかを理解することにより、より世界の見え方が変わってきます。
○動画制作の手順
動画制作のステップは大きく分けて三つあります。
プリプロダクション、プロダクション、ポストプロダクションです。どの段階でも、多種多様なスキルを求められます。撮影技術、編集技術、制作技術、コミュニケーション力、時間管理能力などなど。それらを専門的に習得するための様々なオンライン講座や学校が存在しますが、今回このコラムを読んで、どんな技術が必要で、今後にどう活かせていけるのかイメージを膨らませ、具体化し、あなた自身の動画づくりの次のステップに活かしていただければと思います。
さて、撮影するまでの準備をプリプロダクションと言います。あーでもないこーでもない、と夢見ながら、準備していきます。
そして実際撮影を行うことをプロダクションと言います。実際にロケーションに出て、イキイキと撮影をします。
最後に撮影後、完成に向けての作業をポストプロダクションと言います。
あれとこれ撮影しておけばよかった、このアングル最低、こんなの使えないじゃん、と夢見た構想と違った素材をどうにか完成させていく動画編集作業でもあります。もちろん、プリプロ、プロダクションをしっかりとやれば大きな失敗や苦悩はないのですが、どこか一個でもミスがあったりすると、結構苦しみます。大概の場合、苦難の道や壁をを乗り越えて、動画は完成されていきます。
○プリプロダクション
では、動画の作り方の手順をはじめから説明していきましょう。まずはプリプロダクションです。
撮影前の準備段階です。この段階で決めておくべきことは、たくさん、いろいろあります。この段階を飛ばしてしまうと、痛い目にあいます。少し挙げてみます。
- 構成の作成
- 絵コンテの作成
- グループ(クルー)メンバーの役割
- スケジュール管理
- ロケーションの確認
- 撮影機材の確認
- 予算の管理
ほかにも細かく色々あるのですが、簡単なものを挙げますと、構成を作ること、絵コンテを書くこと、クルーの手配やグループ(クルー)メンバーの役割を前もって決めておくこと、完成までのスケジュールを練ること、撮影当日のスケジュール(香盤)を練ること、ロケーションの確認、撮影機材の確認、予算の管理などです。
▶︎ 構成と絵コンテ
まずは動画のテイスト、方向性を決めて、構成を作りましょう。
どんな動画にするのかということです。シネマティックな感じにするのか、ミュージックビデオっぽくするのか、ドキュメンタリーにするのか、テレビっぽくするのか、Youtubeっぽくするのか。
これを決める上で、「これが一番効果的に目的を達成する動画」だと胸を張って言えることが重要です。なんでシネマティックなの?なんでミュージックビデオなの?なんでドキュメンタリー?YOUTUBE?と言い聞かせて、なぜなら~というわけでベストなのです、と答えられるテイスト、方向性にしてください。
これが決まったら、構成を練りましょう。動画のテイストや方向性によって、様々な構成が編み出されるはずです。
次にその構成に沿って、絵コンテを書いてみましょう。ココで注意してほしいことは、絵コンテはあくまでも設計図だということです。実際撮影しに行ってみると、どうも絵コンテ通りにいかないことが起こります。ですので、そこは臨機応変に、どうやったら事前に考えた絵コンテ以上に面白い、クオリティの高い動画になるか考えながら撮影してみてください。
絵コンテを書くうえでのヒントをいくつか挙げてみます。
① カットのサイズを意識しよう
② そのカットを使う意味を明確にしておこう。
③ 状況や環境、場所の説明が一目でわかる絵は入れておこう。
④ 挿入するテロップも考えておこう。
まず①のカットのサイズですが、これは被写体に対して、そのカットの画角が広いのか(ワイドショット)、その被写体に寄っているのか(クロースアップ)、その中間くらいなのか(ミディアム)ということです。より具体的に細かくサイズを決めておくこともできますが、最低限この三つ程度に割り振っておくことをお勧めします。
次に②カットを使用する意味を明確にしておきましょう。なぜそのカットいるのか、ということを明確にして使用すると、こちらが伝えたいことを視聴者が理解する可能性がぐんと上がります。
次に③ 状況や環境、場所の説明のわかるカットを入れておきましょう。これは、エスタブリッシュショットと言われるものです。いつ、どこで、誰がいるのかという状況を説明するためのカットです。これがあるとないとだと、視聴者の情報の受け取りやすさが変わってきます。
最後に④テロップです。編集の際にタイトル画面だったり、説明するシーンだったりで、ココでこんなテロップが入ったらいいよねという想定をしておくと、何を撮影したら良いかということが明確になって、現場での進行がスムーズになります。タイトルテロップのカットはこれにしよう、とか、左上に小見出し入れるから少し頭の上を開けておこうとかということを決めておくことで、編集もスムーズに行うことができます。
▶︎ スタッフの役割
一般的に撮影クルーにはさまざまな業種のスタッフがいます。それらは部署ごとに分かれてます。
例えば、演出部、俳優部、制作部、撮影部、特機部、録音部、照明部、衣装部、美術部 etc…
構成や絵コンテ、テーマを鑑みて、どの業種のクルースタッフが必要か、また予算にハマるのか等を判断し、外部の専門家に頼むのか、自分たちで担当するのかなど考えてみてください。
▶︎ スケジュールについて
次はスケジュールについてです。全体スケジュールと撮影当日のスケジュールを決めておきましょう。
全体スケジュールは完成日から逆算して、みなさんそれぞれのスケジュールを照らし合わせながら、決めていきましょう。これはそんなに難しくありません。
問題は撮影当日のスケジュールです。余裕を持って組みましょう。編集で困らないように、できるだけ多くの映像素材を撮影できるようにしましょう。
全然想定と違う!全然撮影素材揃ってない!とパニックになることが一番危険です。走らず、落ち着いていきましょう。
それでは映像・動画制作の授業〜基礎編-part①〜のついてのお話はココまでにしておきます。part②ではいよいよ撮影本番、プロダクションパートと、ポストプロダクションパートについてお話ししていきたいと思います。