2024年パリオリンピックから紐解く2023年のロゴデザイントレンド30選

大規模な世界イベントは、グラフィックデザインも時代を反映したトレンド満載のビジュアルで演出します。
今度の2024年パリオリンピックからもさまざまなグラフィックが届いてきています。そこから2023年の最新トレンドも紐解くことができます。一緒に見ていきましょう。まずはParis2024公式動画をご覧ください。

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©︎Paris2024

そもそもロゴデザインとは?

グラフィックデザインにおいては長く花形の仕事であり、企業ロゴを作ることはデザイナーの大仕事の一つでした。企業の顔、看板として堂々としたものが好まれていた時代が長く続いたものの、90年代からのインターネットの普及で「ロゴ」の立ち位置は変わってきました。

2000年代初頭まではデジタルグラフィックツールもまだ技術的に不安定で、ロゴデザインは方向性も混乱していたように感じます。たまに昔のロゴデザイン集などを捲ってみるのも時代感が読み取れ面白いものです。近年はグラフィックはデジタルでの制作が当たり前になり、グラフィックツールは年々進化し、造形の精度に不安はないでしょう。「顔」であり「看板」であることに変わりはないものの、ロゴデザインの立ち位置はインターネットの普及でどのように変化したのでしょうか。

ロゴデザインの役割

現代のグラフィックデザインの活躍の場は、多くの企業活動がそうであるように、デジタル中心です。紙でも外看板でもなく、ウェブサイト、動画の中です。この流れは止められるものではなく、イメージのアナログ回帰、レトロブームなどがあっても、手法までは過去には戻りません。この、デジタルの中でのグラフィック、特にロゴデザインの役割はなんでしょうか。見ていただいた、Paris2024の動画から何がわかるでしょうか。

・ぱっと見、どれがロゴデザインかわからない
・シンプルであっさりしている
・読めるけど派手でも、目立つわけでもない
・コンセプト動画の中に紛れ込んでいる、なじんでいる
・斬新でも新しいわけでもない

このように感じませんでしたか?ロゴデザインは動画やWebサイトの中にあっさりと存在しているのです。一昔前ですと、もっとうやうやしく、ロゴデザインです!とドーンと強調して紹介されていなかったでしょうか。新しさや奇抜さで印象付けていなかったでしょうか。

ユーザーに「顔(ロゴ)」を覚えてもらうことが最も有力な企業活動だったところから、現代のデジタル中心の広報活動では、ウェブデザインや動画などのコンセプトワークに溶け込み、心地よい一体感、スムーズに頭に入ってくる全体の印象が重要なのです。

近年のロゴのデザイントレンド

紙媒体や看板からウェブ、動画で主に使われるようになったロゴマークは、デジタルツールの進化で高解像度、スムーズなギミックでの表現が可能になりました。固定の色や形にとらわれず、動いたり色が変わったりフレキシブルなデザインが人気です。同じ会社やイベントでもジャンルごとに形や色が変化するイメージです。そのため、最近はコーポレートカラーという概念が薄れてきたようにも感じています。

近年の人気の傾向から、いくつかジャンル分けしてロゴデザインを紹介します。

媒体の進化や社会意識の変化に合わせてロゴデザインの流行も変わっていきますが、傾向に合わせて選んでいるので、直近のデザインというわけでもありませんが、今後も主流となって続くであろうスタイルのものを集めました。

ジェンダーレスでやさしい印象のロゴデザイン

Paris2024の動画でのロゴ展開でも感じるように、スポーツという勝負事の祭典ですら、かわいらしさや親しみやすさが印象的です。これからも社会が求める「良いイメージ」は、強い主張のあるものではなく、平和的であたたかいものでしょう。パンチが弱いように思われるかもしれませんが、ロゴデザインは現在は単独で使われることはほとんど意識しておらず、総合デザインのパーツのひとつです。

ホリスティック・メディカル・クリニック

制作:STUDIO FELLOW

円山ぱんけーき

制作:Terashima Design Co.

ゆたか農園

制作:Switch Inc.

福岡市動植物園

制作:カジワラブランディング株式会社

ちょとかわいい(かわいすぎない)ロゴ

引き続き、可愛く優しいイメージです。近年は女性や子供ばかりでなく、男性でも可愛らしいものを当たり前に受け入れ、好む傾向があり、可愛らしさにもジェンダーレスなシンプルさやフレッシュな配色をするとより現代的に表現できるでしょう。イラストと文字の組み合わせもコラージュのように自由な方が今風です。

ちきゅうinc.ロゴマーク

制作:キタダデザイン

コンパニオンプランツ

制作:株式会社ライツデザイン

すみだ水族館

制作:廣村正彰

毎川金花堂 あられcookie

制作:六感デザイン

新横浜公園

制作:tegusu

ちょっとレトロ(レトロのアップデート)ロゴデザイン

昔からある手法ですが、古いロゴデザインのブラッシュアップです。手書き看板のようなレタリング風フォントや家紋を崩したような図形。最近はお菓子のパッケージや飲食店でよく見られる手法です。
懐かしさを求める風潮もやはり、安心感とかわいらしさです。Z世代にとってはこのレトロ感がとても新しく感じられ、80年代90年代を経験してきた世代には親しみやすい、幅広い年代に受け入れられやすいデザインです。

牛乳食パン専門店 みるく

制作:Bone

おはぎ専門店「OHAGI 3」

制作:Harajuku DESIGN Inc. 

まちぶら案内所もてなしや

制作:DEJIMAGRAPH

七むすび

制作:EIGHT BRANDING DESIGN INC.

Sunago Bell 

制作:Bret Hawkins

線が細い(80年代90年代には見られない表現)ロゴデザイン

こういった細いライン、細いフォントのデザインは、印刷物や看板が主流だったころにはほぼなかったと言えます。これはウェブやスマホの画面上で見られることがあたりまえになり可能になった表現とも言えます。スッキリ洗練された、おしゃれなイメージを作ることができます。

公益社団法人 ふじのくに地域・大学コンソーシアム

制作:summit

株式会社アクエリーナ

制作:株式会社デザインエイエム

イソガイスタジオ

制作:atooshi

オステリア valore

制作:20%

LiLI hair cafe

制作:TRUNK

有機的、植物的なデザインのロゴデザイン

Paris2024のロゴデザインにも見られる有機的なデザインは、大きな括りではアールヌーボーのブラッシュアップです。映像の植物的な流線は優美でファッショナブル、ナチュラルな印象があります。自然からの造形の拝借はデザインでは欠かせないモチーフであり続けますが、最近は形がとても抽象的です。細かいでティールを描き込むと昔っぽくなります。フラットなデザインにすることでとても現代的になります。

Tropical Deli Café

制作:Jay Guan-Jie Peng

hanamizuki

制作:triangler studio

四国水族館

制作:GREENFIELDGRAFIK INC.

ミライ発酵本舗

制作:株式会社ヴォイス

北海道自然栽培ファーム

制作:Terashima Design Co.

ピンクやグラデーションの綺麗な配色ロゴデザイン

グラデーションのトレンドは長く続いています。年々進化するディスプレイにあわせ、とても繊細なグラデーション表現が可能になり、これからも人気は続くでしょう。Paris2024にも見られる、ピンクが今後も重要なカラーです。ミレニアム世代、Z世代が好む美しいブルー寄りのピンクは「女性」の色の印象が強かった「ピンク」とは別のものという印象です。この「ピンク」のイメージ改革が進むと、ロゴデザインのカラーリングも一変するのではないかとも感じさせます。

国立公園

制作:NIPPON DESIGN CENTER

ミライ発酵本舗

制作:株式会社ヴォイス

フーレセラピー「mimosa」

制作:MARKLE DESIGN

渋谷109

制作:ハナガキダイジュ

NHK番組ロゴ
印象派名画大集合

イベントロゴは時代のトレンドを反映し、軽やかに。企業ロゴは長く使うことを前提に、ブラッシュアップ可能なデザインを目指す

イベントのロゴマーク、タイトル表現は短期間での使用なので、最新トレンドや流行の社会意識をどんどん取り入れていき、フレッシュな印象を持ってもらいましょう。

何十年も同じロゴマークを使う企業は少なくなりました。ネット中心の社会では、古臭いイメージは進化がなく、止まってしまっているような印象を持たれてしまいます。ファッションのドメスティックブランドやSNSのロゴマークも頻繁にブラッシュアップが行われており、歴代のロゴを並べて検証しているサイトも調べると参考になります。少しの色の変化、形の変化を加えることで、いつも新しく最先端であると見られたいのです。

元のデザインがフラットでシンプルな方が少しづつ変えるには使いやすいでしょうし、180°色や形が変わってしまうとまた覚え直してもらわねばならず、リスクがあります。

デジタルで制作されるデザイン環境は、変化にも適応しやすいので、そこは利点でしかありません。覚えてもらい、どんどんブラッシュアップしていけるロゴデザインが長く使われるのではないでしょうか。

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