【体験談】リモートワーク3年目のグラフィックデザイナーが語るメリット・デメリット

株式会社ベートーベンでは、コロナ禍の2021年から会社のスペースを縮小し、デスクワークは自宅で作業する「リモートワーク」になりました。元々は朝10時〜出勤するのが当たり前の生活で、成果物の提出期限ありきなので、帰宅時間は遅めでした。
2023年現在はリモートワークを解除し、以前と同じように出勤されている会社も多いですね。コロナ禍により半強引に始まった「リモートワーク」ですが、職場環境、職種や性格で向き不向きはありそうですが、メリットの方が多いと感じています。
私は今年の初めに「リモートワーク」だからこそ可能になった、都心への通勤圏から郊外へ引っ越しをしました。これまでの経緯や「メリット・デメリット」をまとめましたので、「リモートワーク」の仕事を探している方、「リモートワーク」を検討している方のご参考になれば幸いです。

リモートワークに必要なもの

【PCモニター】

会社支給のPCがノートなので、出勤していたころからPCは持ち帰っていました。グラフィックデザインの作業にはノートサイズのモニタでは小さすぎて細かい調整がやりずらいので、デスクにモニタが必須です。2021年当時、東京都ではコロナ禍以前よりリモートワークを推進していたため、「リモートワーク助成金」を利用し、23インチのモニタを自宅に用意しました。職種柄、これがないと1日作業するのは無理です。

【wi-fi環境】

急遽始まったリモートワークで、自宅ではポケットWi-Fiしかネット環境がありませんでした。重いデータをアップしたりすると従量制限を超え、ネット不通に陥るなど、試行錯誤していました。自宅のwi-fiでは賄えず、近所でwi-fiを使えるところに出かけることもありました。1年ほどその生活を続け、引っ越しを決めた理由の一つがネット環境でした。

リモートワークを経て始まった「四谷あれこれ」

弊社では、リモートワークに切り替えたタイミングで、会社のスペースを整理しました。机も無くなり、広いスペースに。動画を撮影することもありますが、毎日稼働するものでもなく、このスペースを利用して物販イベント「四谷あれこれ」を開催しています。3年続け、近所の方が毎回来てくださったり、会社周辺の皆様と顔をあわせる機会にもなっています。


この空いたスペースがなければ始まらなかった企画です。仕事でお世話になっているアルカキラナ様のアーユルベーダのアロマ商品やお茶、日本中から作家さんを探し、手仕事の雑貨、アクセサリー、お菓子やパンなどを週末2日間(金土)販売します。自社イベントを開催することで近隣の方へ会社のことを知ってもらったり、業務では出会えなかった方々との新しい交流ができています。

メリット1「通勤」

最大のメリットはリモートワークを経験された誰もが感じる「通勤」が無いことです。始業時間まで自分のことができますので、朝の時間にゆとりがあります。以前は中央線沿いに住んでいたので、通勤電車は行きも帰りも混んでいます。通勤するのが当たり前の生活でしたが、「通勤」のストレスからの解放は誰もが感じるメリットです。

メリット2「ペットの様子がわかる」

以前から飼っている文鳥が11歳を越え、老鳥です。もう1羽は2歳でコロナ禍のリモートワークが続いた頃に雛から飼い始めました。平日に日中の様子が見られるので、さし餌が必要な頃から育てることができました。
老鳥はいつ体調が崩れるかも心配ですし、平日に留守している時間が長く、あまり遊んであげられないのも可哀想だと思っていました。体調が悪そうな時に平日の午前中に動物病院へ連れて行けたのも、通勤していてはかなり難しく、休日を待ったかも知れません。その間に何かあったら後悔していました。今は、白内障で目が悪くなり、寝ていることが増えましたが、順調に元気に過ごしています。

郊外に引っ越したことで、新たに保護鳥の譲渡会からコザクラインコを迎え、鳥の保護活動に携わりたいという想いも前に進めることができました。

メリット3「食生活を見直し、基本自炊」

通勤していた頃は、お弁当を持って行くこともありましたが、コンビニや飲食店のランチ弁当、外食、夜も帰りが遅いと、買ったものを食べることがほとんどで、自炊できていたのは休日くらいでした。一番変わったのが食生活です。
長く家にいることから、体重も増えるばかりでした。調味料から全て見直し、そもそもアレルギーだった小麦製品をほぼ代替え品に変え、野菜中心の食生活です。しばらくは美味しくないものもありましたが、いろいろ食べ比べた結果、代替え品でおいしく食事もでき、ストレスもありません。

短納期で、毎日長時間仕事に追われてしまうタイミングもあり、自炊が間に合わないこともあります。外出もままならず、Uberで2食まとめて頼んだりする日が続いてしまうとげんなりします。これからは日持ちのする作り置きなんかもできるように料理レベルをあげていきたいです。

メリット4「平日も少しづつ家事」

休日の午前などにまとめてやっていて休日の時間を取られていた、日々の家事。平日に洗濯を済ませておいたり、1ヶ所だけ拭き掃除をしたり、毎日すこしずつ家事を進められるため、休日に家事が溜まっていることが少なくなりました。毎日天気の様子を見ながら、布団を洗ったり家事も臨機応変できるのは平日に自宅にいるからこそです。

メリット5「荷物の受け取り、設備の工事などに対応できる」

置き配に抵抗がないので、頼めるところは置き配にしています。ポストに入らない郵便や、置き配の選択がない荷物を再配達してもらうことが申し訳なかったのですが、ほとんど自宅にいるため、受け取れないことはほぼありません。休日に指定していると、配達を受け取るまで出かけられなかったり、早く帰ったりしていましたが、休日に受け取ることがないので、休日のスケジュールにも余裕ができました。

最近は風呂場の換気扇が壊れて交換に来てもらいましたが、平日に仕事をしながら対応でき、休日に時間を作ることなく済ますことができました。

メリット6「体調がすぐれない時に横になれる」

勤務先で体調がすぐれない時も、病院へ行くほどのことでなければ早退したりしませんが、ちょっと薬を飲んで休めば治りそうだなという体調不良のときに、少し横になれたらと思いますが、リモートワークだとそれも可能です。急ぎで仕上げるものがなければ、時間が押しますが、少し休んで回復してからまた取り掛かるということもでき、無理して悪化させずにすみます。

メリット7「平日にも買い出し」

都心に住んでいても9時を過ぎれば閉まる店も多く、遅い帰りではコンビニでしか買い物ができないこともありました。遅い時間にスーパーに寄ると、お買い得になっているお惣菜があることもありますが、牛乳など品切れも多く、休日に買い出しに行く必要がありました。荷物の受け取りと同じで、買い出しも休日のスケジュールに組み込む必要がありました。リモートワーク中は、勤務の合間の昼時間などにさっと自転車で必要なものを買いに行けます。

メリット8「ベランダの植物の世話も」

通勤だった頃も、植物をベランダで育てていましたが、朝に一度水をやる以外は平日は様子を見ることができません。夏は全く水が足りないので、簡単な給水装置なども焼け石に水。枯れたり弱ることが多く育てるのが難しかったです。

日中に様子が見れると、午前中に給水の2回目、夕方にも様子を見ながら水をやったりと、細かく調整でき、植物の種類も増やしてベランダガーデニングも楽しんでいます。

メリット9「郊外での暮らしが可能」

リモートワークを続ける中で、2年近くが経った頃、中央線沿いの駅から郊外へ引っ越しました。便利な環境でしたが、仕事をするには部屋も手狭なことと、ネット環境が不安定な集合住宅だったことで、業務に支障がありました。家庭菜園や鳥の世話ができるもっとゆったりした環境で暮らしたいと思っていたので、郊外の選択ができたのも、リモートワークが継続できたからです。

家庭菜園についてはまだ借りられる畑がなく、友人の実家で借りている畑が近いので遊びに行って野菜の勉強中です。住宅街の端の立地なので、自転車で5分も進めばあちこちに畑が広がっています。今度、市が開催している肥料にする落ち葉を集める会に参加する予定です。

デメリット1「ネット環境(wi-fi)が会社ほど強く無い」

今度は、デメリットを挙げていきたいと思います。引っ越しした理由の一つがネット環境でした。元々仕事を自宅でする(持ち帰り仕事程度)ことを想定していなかったため、光回線などの設備のない集合住宅でした。wi-fiも当初はポケットWi-Fiで従量制限もあり、グラフィックデータをダウンロード、アップロードするには全く足りず、近隣のWi-Fiの入る施設を利用したり、自宅以外の環境を探し回っていました。
ポケットWi-Fiからwi-fiホームルーターに替えたことでほぼ改善されましたが、ネット契約もさまざまな制約があったので簡単には切り替えができず苦労しました。引っ越し先ではwi-fiも安定しており、ネット環境は解決しました。

デメリット2「数日家から出ないこともあり、運動不足」

コロナ禍では、外出を控えるようにという時期が長く続きましたが、リモートワークの環境は、そのころから変わらず、社会的な制約があろうとなかろうと、ほとんど外に出ません。もともと運動は好きではないので、毎日往復50分ほど歩いていた通勤時間が日々の運動でした。
それが無くなったにもかかわらず、食べる量が以前と同じでは体重も右肩上がりです。これもしばらく悩みましたが、食事内容の改善で元に戻してキープできています。畑仕事を本格的にできるようになれば外で動くので、もっと体力もつくかなと思っています。

デメリット3「ほどんど人に会わない」

休日に人に会えれば十分な私はこの点はあまりデメリットに感じていないのですが、人によっては致命的かもしれません。仕事中のなにげない雑談もできなくて寂しいという方にはつらいかもしれません。リモート飲みなども流行りましたが、最近はどうされているんでしょうか。勤務中のランチでのおしゃべり、勤務後の飲みなどが楽しみという方には全く向いていない働き方かもしれません。

デメリット4「世間話からの情報が乏しい」

世間話というのがないので、自分から取りに行く情報以外の偶然得る情報などが少ないかもしれません。これについても、人によるところがあるかと思いますが、好奇心があればSNSなど、さまざまな情報にアクセスしますし、困るようなことはありません。私の場合は勤務中ラジオを流すことが多いので、ラジオからの情報を重宝しています。

デメリット5「アイデアや知識の共有が不足」

この点も、結局は自分次第なところもありますが、アイデアについて人と話してブラッシュアップされることがありますが、リモートワークでは、相談したい相手の様子がわからないことから、今空いてますか?と、ちょっと相談したいというタイミングが掴めず、そういった時間が取りづらいことはあります。クリエイティブワークの質を上げていくには、この点は課題といえるかもしれません。

3年目でリモートワークを振り返り

コロナ禍から強制的に始まったリモートワークで、最初の1年は社会情勢もあり不安定な日々でしたが、通勤しないことでのストレスのなさはすぐに感じたところです。部屋が狭かったり、ネット環境が不足していたりという不便なところを、環境を整え、少しづつ仕事をしやすいように工夫しました。そして、仕事と暮らしが同じ場所であるので、暮らしの質を高めることも、仕事と直結します。結局は引越しで解決したことが多くありました。

この3年間での環境の変化は、想定していたものではありませんでしたが、ライフワークバランスという観点からは、今の生活に満足しています。

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