「鰹節」と聞くと、真空パックの中に入った削られた花かつおをイメージする人が今や多いのではないだろうか。
本来は、三日月型の塊のことを「鰹節」と言い、昔の人はカンナのような鰹節削り器で削り、だしを取ったり料理に添えたりしていた。この「鰹節」、一本作るのに数か月～半年の年月がかかっているのをご存じだろうか？鰹が水揚げされてから私たちの食卓に上がるまで、数々の熟練職人たちの手により、ひとつひとつ時間をかけて作られているのだ。今でも年々消費が増え続け、日本の食卓には欠かせない存在となっている「鰹節」。鰹節生産者を中心に日本のものづくり職人たちが「鰹節」を作りあげる軌跡をカメラで追ったドキュメンタリームービー。
こちらの作品は、まだ一般公開をしておりません。先行して閲覧をご希望の方は、ご連絡下さい。

映画監督 中島 悠より

「彼らのことを「世界で一番小さな鰹節製造工場」と話を聞いた時にすでに僕の中で撮りたい気持ちになっていました。
西伊豆町の田子という場所にある、鰹節工場のカネサダ商店さん。初めて訪れた時から、挨拶も早々にカメラを回し始めました。彼らの工場は機械化されておらず、全ての工程に人の手が入る製造方法を取っています。「世界で一番小さな鰹節工場」で作られているカツオブシは「世界で最も人の手がかかっている」ものだったのです。
彼らの工場は隅々までカツオブシを燻す煙で茶色く変色し、その工場であまり言葉をかけ合わずに淡々と進められていく作業を見ているだけで彼らが多くの時間をカツオブシの製造に費やしてきた事が伝わってきました。
この作品は説明を省き、音楽も入れずに仕上げる事でその時間を感じてもらう事に集中しています。世界の映画祭での上映をいつくか経て、いつも聞かれる質問がいくつかありました。「日本にはなぜこの様な人生を捧げた職人が存在するのか？」「持続可能な環境と食の問題についてこの映画で何を伝えているのか？」「あなた自身は海洋環境と食に関して明るい未来を見ているか？」などの質問は繰り返し何度も聞かれました。
この映画を見た人にこれらの質問への回答を自分なりに考えていってもらえたらいいな、と思っています。

映画監督　中島 悠氏

富山県出身 映像作家、ドキュメンタリアン、ウィスキー愛好家、愛犬家。
2010年、単身渡米。長編ドキュメンタリー映画「ハーブ&ドロシー2 ふたりからの贈りもの」の制作に関わるなど、ニューヨークを拠点に、監督、撮影、照明、音声、プロデュースと様々な形で映画、広告、Music Videoなどを中心に活動を行う。2015年よりベルリンでの活動を開始。活動拠点を東京とベルリンに構え、物語を紡ぐ人たちと一緒に旅を続けている。
http://yunakajima.com/



受賞歴：
"The Apology" DIRECTED BY YU SHIBUYA「100年の謝罪」・Montelupo Fiorentino International Independent Film Festival 2016　/　Official Selection　/　Italy・Bali International Film Festival 2016　/　Official Selection　/　Indonesia・Calgary International Film Festival 2016　/　Official Selection　/　Canada・Esperanza Film Festival 2016　/　Official Selection　/　Russia・Milan International Film Festival 2016　/　Official Selection　/　Italy・New York State International Film Festival 2016　/　Official Selection　/　USA・Asian Film Festival of Dallas 2016　/　BEST DRAMA SHORT　/　USA・Rochester International Film Festival 2016　/ BEST OF THE FEST　/ USA・Maryland International Film Festival 2016　/ Official Selection　/ USA・Arizona International Film Festival 2016　/ JURY AWARDS for Creative Achievement "Dramatic"　/ USA・Yubari International Fantastic Film Festival 2016　/　International Short Film Program Official Selection　/　Japan・Sapporo International Short Film Festival 2015　/　JURY AWARD　/ Japan・Japan International Short Film Festival 2015　/　Personal Communication Program　/　AWARD FOR